流体の運動量保存則(1) 移流項から

非圧縮性流体

運動量保存則

前回の質量保存則を考えた時と同様に、流体の運動量保存則とはどのようなものになるかを考えていきます。

 

またしても上のような座標と微小体積を考えます。

この微小体積における運動量保存則を考えていきます。ここで、微小体積中の流体の運動量が変化するとしたら、どのような量が変化するかを考えます。

微小体積中の流体の運動量が変化するとしたら・・・

$$
\begin{align}
\frac{ \partial \rho u_i \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} = (原因)  \tag{1} \label{eq:scale-factor-1} \\\\
\end{align}
$$

となっているはずです。これは大丈夫でしょうか?。質量×速度=運動量の時間変化を考えているだけです。

それは何によって変化するでしょうか?まず考えられるのは、「流速によって」です。

そこで、前回と同じように\(x_1\)方向に流入と流出がある場合を考えてみます。まず、微小体積の左の面から密度\(\rho\)で速度\(u_1\)で入ってくるとします。この時、右面の密度と流速は前回と同じように、密度\(\rho +\Delta x_1 \frac{\partial \rho}{\partial x_1}\)で速度\(u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1}\)になるかと思います。

この時の\(\rho u_1\)という運動量が流速によってどう変化する考えてみましょう。まずは、単純に\(x_1\)方向で加速、減速する場合。これは普通に、先ほどの質量と全く同じように考えてやれば大丈夫な気がします。

即ち、\(x_1\)成分による運動量変化を\(M_{1x_1}\)とします。これらの単位はkg・m/s/sで、運動量の時間変化を考えています。この時、

$$
\begin{align}
M_{1x_1} &= \rho u_1 u_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho +\Delta x_1 \frac{\partial \rho}{\partial x_1} ) ( u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} ) ( u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} )\Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&=\rho u_1 u_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho u_1+\Delta x_1 \rho \frac{\partial \rho}{\partial x_1} + \Delta x_1 u_1 \frac{\partial \rho}{\partial x_1} + \Delta x_{1}^2\frac{\partial \rho}{\partial x_1} \frac{\partial u_1}{\partial x_1} )( u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} ) \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&\simeq \rho u_1 u_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho u_1+\Delta x_1 \frac{\partial \rho u_1}{\partial x_1} )( u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} ) \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&=\rho u_1 u_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho u_1 u_1 +\Delta x_1 \rho u_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} + \Delta x_1 \frac{\partial \rho u_1}{\partial x_1} +\Delta x_{1}^2 \frac{\partial \rho u_1}{\partial x_1}\frac{\partial u_1}{\partial x_1} ) \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&\simeq \rho u_1 u_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho u_1 u_1 +\Delta x_1  \frac{\partial \rho u_1 u_1}{\partial x_1} ) \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&=- \frac{\partial \rho u_1 u_1}{\partial x_1} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3
\tag{2} \label{eq:scale-factor-2} 
\end{align}
$$

こんな風になるかと思います。

また、今までなあなあにしてきましたがちゃんと微小体積の値について考えます。基本的に微小体積の値を代表しているのは一番左下の点、\(x_1,x_2,x_3\)が一番小さいところです。値が入っているのは左下の点ですが、左下の3つの面は左下の点の値で流入してくると考えます。また、微小体積の流出のところは\(\Delta x_1, \Delta x_2,\Delta x_3\)離れた点の一番右上の点に代表して値が入っていると考え、右上の3つの面はその値であると考えます。流入、流出という形にしていいのかと思うかもしれませんが、単に正方向を定義しているだけで、流入がマイナスになればすなわち流出なので、大丈夫です。

他の方向からの成分で曲げられたりして変わる運動量はどのようになるのでしょうか?なかなか難しいところです。もしかしたら間違った理解をしているかもしれませんので、あればご指摘ください。現象としては、このような場合どのような現象なのか考えてみます。現象としては、別の方向からの速度を受けて、その方向に加速・減速するような現象になるはずです。そして、元の流速との足し算になるような形になりそうではないでしょうか?今、下図のように\(x_1\)方向の流速に、\(x_3\)方向の流速があって、曲げられるような現象が起きるとします。流速はおそらく、その2つのベクトルを足したような流速になるでしょう。この場合、流速は速くなっています。つまり、運動量は変化しています。

いやいや、\(x_1\)成分は変わってないから、\(x_1\)方向の運動量は変化してないじゃんと思ったかた、そうですよね。でも違います。この辺がめんどくさいところです。今考えているのは、\(\rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3\)という運動量が時間的にどう変化するかです。

元々の運動量を考えると、\(\rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3\)という運動量は、\(u_2, u_3\)に運ばれて変化していて、変化した運動量との保存則を考えねばなりません。すごくややこしいですね。だから、u_2によって変化する運動量\(\rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3\)の変化、M_{1x_2}はこうなります。

$$
\begin{align}
M_{1x_2} &= \rho u_1 u_2 \Delta x_1 \Delta x_3 – ( \rho +\Delta x_2 \frac{\partial \rho}{\partial x_2} ) ( u_1 +\Delta x_2 \frac{\partial u_1}{\partial x_2} ) ( u_2 +\Delta x_2 \frac{\partial u_1}{\partial x_2} )\Delta x_1 \Delta x_3 \\\\
&\simeq \rho u_1 u_2 \Delta x_1 \Delta x_3 – ( \rho u_1 u_2+\Delta x_2  \frac{\partial \rho u_1 u_2}{\partial x_2} ) \Delta x_1 \Delta x_3 \\\\
&=- \frac{\partial \rho u_1 u_2}{\partial x_2} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3
\tag{3} \label{eq:scale-factor-3} 
\end{align}
$$

下のように、こうじゃないの?と思った方いるかもしれません。しかし、間違いです。この辺がややこしいところです。もっといい説明あればコメントください。

$$
\begin{align}
M_{1x_2} &= \rho u_1 u_2 \Delta x_2 \Delta x_3 – ( \rho +\Delta x_1 \frac{\partial \rho}{\partial x_1} ) ( u_1 +\Delta x_1 \frac{\partial u_1}{\partial x_1} ) ( u_2 +\Delta x_1 \frac{\partial u_2}{\partial x_1} )\Delta x_2 \Delta x_3
\tag{4} \label{eq:scale-factor-4} 
\end{align}
$$

だんだん見えてきました。一応、同じように、\(x_3\)成分もやっておきます。

$$
\begin{align}
M_{1x_3} &= \rho u_1 u_3 \Delta x_1 \Delta x_2 – ( \rho +\Delta x_3 \frac{\partial \rho}{\partial x_3} ) ( u_1 +\Delta x_3 \frac{\partial u_1}{\partial x_3} ) ( u_3 +\Delta x_3 \frac{\partial u_1}{\partial x_3} )\Delta x_1 \Delta x_2 \\\\
&\simeq \rho u_1 u_3 \Delta x_1 \Delta x_2 – ( \rho u_1 u_3+\Delta x_3  \frac{\partial \rho u_1 u_3}{\partial x_3} ) \Delta x_1 \Delta x_2 \\\\
&=- \frac{\partial \rho u_1 u_3}{\partial x_3} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3
\tag{5} \label{eq:scale-factor-5} 
\end{align}
$$

これでだいたいわかりました。全体としてどうなるかと見ておきます。

$$
\begin{align}
&\frac{ \partial \rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} = M_{1x_1} + M_{1x_2} + M_{1x_3} \\\\ 
&\frac{ \partial \rho u_2 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} = M_{2x_1} + M_{2x_2} + M_{2x_3} \\\\ 
&\frac{ \partial \rho u_3 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} = M_{3x_1} + M_{3x_2} + M_{3x_3} \tag{6} \label{eq:scale-factor-6} 
\end{align}
$$

よって、\(u_1\)のやつから算出してみましょう。まず、

$$
\begin{align}
\frac{ \partial \rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} &= M_{1x_1} + M_{1x_2} + M_{1x_3} \\\\
&= – \frac{\partial \rho u_1 u_1}{\partial x_1} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – \frac{\partial \rho u_1 u_2}{\partial x_2} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 – \frac{\partial \rho u_1 u_3}{\partial x_3} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3  \\\\
&= – \frac{\partial \rho u_1 u_j}{\partial x_j} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3
 \tag{7} \label{eq:scale-factor-7} 
\end{align}
$$

できました。添字にjを使ったのには、理由があります。というか、i以外ならなんでもいいです。ここの添字はどうせ縮約を流のでなんでもいいですが、今は\(u_i\)等を考えているので、ここに抵触してはいけません。どこと縮約をとっていいかわからなくなります。

他のも同時に書いてみます。

$$
\begin{align}
&\frac{ \partial \rho u_1 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} = – \frac{\partial \rho u_1 u_j}{\partial x_j} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\ 
&\frac{ \partial \rho u_2 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} =- \frac{\partial \rho u_2 u_j}{\partial x_j} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\ 
&\frac{ \partial \rho u_3 \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} =- \frac{\partial \rho u_2 u_j}{\partial x_j} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 \tag{8} \label{eq:scale-factor-8} 
\end{align}
$$

おお、なんかこれは、、、さらにテンソル表記でまとめられそうですね。最終結果がこれです。

$$
\begin{align}
&\frac{ \partial \rho u_i \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3}{ \partial t} =- \frac{\partial \rho u_i u_j}{\partial x_j} \Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 \\\\
&\Leftrightarrow \frac{ \partial \rho u_i}{ \partial t} =- \frac{\partial \rho u_i u_j}{\partial x_j} 
\tag{10} \label{eq:scale-factor-10} 
\end{align}
$$

綺麗ですねー。綺麗に書けました。これを移流による流体の運動量保存則です。簡単ですね。

 

しかし、運動量保存則はこれでいいのでしょうか?そんなわけありませんね。他にも、運動量に影響を与える要因があるはずです。考えられるものはなんでしょう?

重力は?粘性とかの摩擦は?圧力は?次回からはこの辺を考えていきます。



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